入学式では、創立者兼学園長である七海夫婦が、この学園の趣旨を説明した。
七海学園では、デステニーというマッチングシステムによって選ばれたカップルたちが、三年かけてトップを争う。
そしてそのカップルは卒業したら入籍し、セブンオーシャンの社長になれるのだ。
セブンオーシャンの社長という座に憧れている人。
一攫千金を狙っている人。
運命の相手を探しにきた人。
いろんな夢を持って、みんなここに集まっている。
(私には、全部どうでもいいことだけどね)
周りでキラキラ目を輝かせる同級生たちを眺めながら、恵奈は心の中でそうつぶやく。
『運命の人なんていない』
そう思っていた矢先に、恵奈はこの学園が創設されるというニュースを聞いた。
運命の相手? そんな存在、ありえない。
いるんだったら、会わせて欲しい。
そんな思いで受験したら、まさかの合格。
そうして今日、恵奈は入学を迎えた。
だから、恵奈は金の夫婦の卵に選ばれようなんて思ってもいないし、パートナーがどんな人だっていいと思っていた。
ただ、自分とまったく正反対の人がパートナーとして選ばれていたことについては、恵奈にとって誤算であった。
先ほどの圭吾の様子を思い返すと、恵奈はつい顔が曇ってしまう。
(浅利くん、すっごく元気な人だったな。どうしてあんな陽キャの人が私の相手なんだろう? 私に合うわけがないのに。……あぁもう。やっぱり、別の全寮制高校にしておけば良かった!)
これからの三年間を思い、恵奈は深く深くため息をこぼした。

