魔女の瞳Ⅳ

そう。

確かに奴の言う通りだ。

教会から異端視され、人間からは蛇蝎の如く忌み嫌われ、ヨーロッパにいた頃は散々追い立てられた。

火炙りにされ、冷たい池の底に沈められ、この世のありとあらゆる苦痛を味わわされ、一度はこの世の全てを呪い、命まで絶とうとした時期もあった。

だけど。

「ホプキンス…あんたは知らないのよ…魔女即ち邪悪…そして魔女狩りをビジネスとしてしか考えず、罪なき人間までその糧としか考えなかったあんたにはわからないのよ」

両手に収束した魔力。

その魔力で、目の前の空間に十字を描く。

「魔女は人間に歩み寄る事ができる…人間は魔女を受け入れる事ができる…いえ、魔女だけじゃない…あんたみたいな奴が一方的に決め付けた魔物と呼ばれる存在でさえ、全ては共存する事ができる」

私は背後で眠っている、傷だらけの修内太の姿を見た。

「そういう人間だってこの世に存在する…悪魔よりも邪悪なあんたと違ってね…!」