家を出て、駅に向かって歩き始めた。

『やっぱりお母さん、おもしろい人だよね!』

『そっちはおもしろいかもだけど、俺からしたらキツいって…。』

『あははっ!えー!なんで!』

あたしがそう言うと、ヨウは困り顔になった。

この困り顔がかわいい。

しばらく笑っていると、ヨウは困り顔から普通の表情に戻って言った。

『…それでさ。母さんはあぁ言ってたけど、マジで近いうちに泊まりに来ないか…?』

声が少し震えている。

緊張したのかな…?

泊まり…。

行きたいけど…。

ヨウのお母さんも来てねって、言ってくれてはいるけど…。

あたしは答えた。

『行きたい!でもね。絶対に行けるかはまだ分からないよ…?』

『…。』

『ほら。あたしも自分の親に言わないといけないとか、色々あるし!』

『だな。行けたらでいい。前向きに検討して貰えると嬉しいな。』

『うん!』

元気良く首を縦に振った。

そのタイミングでちょうど駅の前に着いた。

『送ってくれてありがと!じゃあね!』

『おやすみ。』

改札機を通る直前まで、ヨウはあたしを見送ってくれた。