ヨウの部屋のドアを勢いよく開けた。

部屋の中に入ると、素早くドアを閉めた。

すると、名前も知らないアーティストの音楽が耳に入ってきた。

ヨウが流している洋楽だ。

とても心地良くて、心が落ち着いた。

『おほはっはは。(遅かったな。)』

チョコレートを口に頬張っているヨウがのんきに言った。

あたしはヨウをじっと見た。

『…それを言うのは、デリカシーがないんじゃない?』

『あっ。いやその…。ごめん。』

ヨウは目を逸らし、困った顔をしている。

『ふふっ!いいよ。』

冗談だからね。

あたしは笑いながら、座布団に腰を下ろして、お菓子に手を伸ばした。

すると、ヨウがそっと尋ねてきた。

心配そうな表情を浮かべている。

『…大丈夫か?』

『大丈夫だけど。どうして?』

『顔。怖いから。腹痛い?便秘の薬ならウチにもあるけど?』

『ありがと。でもね、大丈夫。』

『そうか。なら良いんだけど。』

あたし達は再び、宿題に取り掛かり始めた。

相変わらず、ヨウは優しい。

不器用ながら、いつも気遣ってくれる。

ほんとに優しいね…。

あたしは…。

嘘しかついていないのに…。