校門を抜け、横1列に並んで歩き始めた。

道には紅い葉っぱが大量に落ちている。

『うっ…。さむぅ…。』

冷たい風が吹きつけてきたせいか、自然と口から溢れた。

だってもう、11月の上旬。

秋は深まり、冬が近づいている。

昼間はまだ少し暖かいけど、夕方からは急に冷え込む。

『ミツバは寒がりだからな。ちゃんとあったかくしろよ。…こうしたら暖かい。』

そう言ってヨウはあたしの右手を握った。

いつも何かしらの前置きをしてから、こういうことをしてくる。

今日のところは、寒がりだからということらしい。

照れ屋さんだ。

『うん!これならあったかいね!』

『だな。』

あたし達は顔を見合わせて笑った。

ヨウは中学生の時からの友達だ。

今が高校2年生だから、付き合いとしては5年も一緒にいる。

そして、関係が変わったのは中学3年生の冬。

恋人の期間は2年くらい。

高校生になってからはずっと彼氏と彼女として、友達に冷やかされながらも、幸せな時間を過ごしている。

幸せな…。

考えごとをしていると、歩いているあたし達の前を猫が通りかかった。

『あ、猫。かわいい!』

『ほんとだ。』

『そういえば猫って利き手あるらしいよ。』

『まじか。』

余計なことを考えずに済んで助かった。

そのまま雑談をしながら歩いているうちに、目的地に到着した。