おじいちゃん「やあ」

おじいちゃんは愛想よく、片手をこちらに上げて微笑んだ。

男の子「ここは?」

おじいちゃん「ここは夢の世界だよ」

男の子「おじいちゃんは?」

おじいちゃん「私はここの住人さ」

男の子はキョロキョロと周りを見る。

おじいちゃんはパチンと指を鳴らす。

すると世界は真っ赤な夕焼けの海に変わった。

桟橋があり、水平線の向こうから夕方なのに太陽が昇っていく。

男の子には、なぜか夕方だという確信があった。

おじいちゃんは

おじいちゃん「僕らも登っていこう」

そう言うと男の子の手を取る。

二人の体はスルスルと上に登っていき、周りは見渡す限りの雲海が広がった。

男の子「すごい」

おじいちゃん「そうだろう。ここは君の夢の中。何でも自由。何でもできる。何でも思うがままだよ」

雲海はよく見渡すと 、右の方に螺旋階段があった。

階段をスーツの男性が上っている。

男性は、実際の人間というより美術館で見た事がある絵で描かれているかのような人。

おじいちゃんも男性のように階段を上っていく。

男の子も慌ててついていく。

階段はそれほど高くなかった。

頂上には先ほどの太陽が待っており、太陽にはドアがついていた。

おじいちゃんと男の子が頂上に着くと

ドアが開き、中からたくさんの人達が出てきた。

皆、口々に

「いやー最高ですな」

「子どもの頃からの夢だったんですよね」

などと言いながら下へと降りていく。

※この話は全てフィクションであり、実在の人物や団体などとは一切、関係ありません。