目の前に白い虎が現れる。

ひろ「わっ」

白い虎はこちらに向かって何か吠えているが、声が聞こえない。

ひろはキョロキョロと周りを見渡す。

どうやらここは森のようだ。

近くにせせらぎの音が聞こえる。

ひろは川の方へと近づいていく。

小川の中央には石があり、その上にバクが胡座をかいていた。

バクは目を閉じて、小さなビンを嗅いでいる。

ひろ「バクさん、こんばんは」

バクは静かに目を開け、

「やあ」

と笑顔で言った。

ひろ「何をしているの?」

バク「香りを嗅いでいるんだよ」

ひろ「何の香り?」

バク「フランキンセンス。心を静める香りさ」

ひろ「へぇー」

バクと話していると白い虎がやってきた。

ひろ「わわわわわっ、また来た!」

バク「よお、虎之助。君もちゃんとひろを迎えに行ったみたいだね。後でお肉をあげるからね」

虎之助は声を上げずに吠えて、その場を去って行った。

バク「さーて、今日も参りますか」

バクは左手の指をパチンと鳴らした。

気がつくとひろ達は浜辺にいた。

時刻はお昼頃。

前方には樹のよく茂った島が見える。

※この話は全てフィクションであり、実在の人物や団体などとは一切、関係ありません。