「いいよ、わかった」

「ありがとう」

私は勇気の言葉に耳を傾けた。

「入学式の初日さ、結婚に興味がないって話したろ?」

「うん」

「あれさ、正直、本音だったんだ」

私は相づちを打ちながら聞く。

「理由があって……実は俺、小・中学校の頃クラスの全員に無視されてた時期があって……」

「え!? そうなの?」

「空気扱いみたいになっててさ、つらくて。でも、自分じゃどうすることもできなくて」

今の割と人気者の勇気からは想像出来ない。

「だから、人を信じれないっていうのかな。助けてくれる人も居なかったし……」

勇気は続ける。

「だから、社長になって権力を持てば人から無視されることもなくなるんじゃないかって思って、結婚に興味ないって言った」

なるほどね……。

「でも、高校に入ってみてわかったんだ。俺の場合、人に対する態度とかひどすぎて無視されてたんだよね。反省して改めてみたんだ。
今、学校めちゃくちゃ楽しいんだよね」

勇気はニカッとした笑顔を見せた。

「あと、人を信じられなかった所もあって。だから信じてみようと思う!」

「勇気も大変だったんだね……」

「聞いてくれてありがとう……つかさは何で結婚に興味ないんだ?」