「……え？先生、今なんと…？」

私は自分の目の前に座っている先生の言葉の意味が理解できず、もう一度聞き返した。

「ええ、晴香ちゃんに血の繋がったきょうだいがいることが分かったのよ」

「血の繋がったきょうだい…つまり家族、ということですか…？」

私がそうたずねると、中嶋先生は綺麗な顔に笑顔を浮かべた。

「そうよ」

「ここ周辺の施設を管理している人から昨日連絡が入ったの」

…私に、家族がいる。

聞いた話だけだとまだ現実感がない。

幼い頃に両親が他界して、私は一人このひまわり養護施設に預けられた。小さかったから、お母さんとお父さんの顔ももう覚えていない。
なのに、私に生き別れのきょうだいがいるってこと…？

「…突然の話だから、混乱してしまうわよね」

中嶋先生は私が不安な表情をしていることに気がついてくれたのか、両手を優しく包み込んでくれた。

「先生…」

きょうだいが見つかったということは、きっとこれから直接会いに行くことになるのだろう。

今までずっと一人だったから、再会は嬉しいけど少し怖い。

「でも、この機会を逃してしまったらもう会えることはないかもしれないわ」

先生はまっすぐな瞳で見つめる。

「晴香ちゃんはどうしたい？」