ーーーそれは突然だったーーー

帰り道、久しぶりに詩乃と一緒になった。

「なんか、こうやって一緒帰るの久しぶりだね!」

「言われてみればそうだな。最近部活とか忙しかったし。」

他愛のない話をしながら歩いた。しばらくして、詩乃は何故か黙り込んだ。そしてまた、いきなり口を開いたかと思えば…

「あのさ…!ちょっとその、相談、なんだけど…」

「相談?珍しいな。別に良いけど、何だ?」

「えっと…その…」

なかなか言い出さない詩乃。

「また赤点取りそうとか?勉強なら教えるけど。」

すると俺の言葉を遮るように詩乃は

「違くて!…恋愛相談、です。」

「……は?」

一瞬俺だけ時が止まった。驚きのあまり思考が停止した。

「だから、恋愛相談!好きな人が出来たの!」

恥ずかしそうに言う詩乃を見て嘘ではないと分かる。動揺を隠しながら恐る恐る聞いてみる。

「へっ、へ〜…で、その好きな人って…?」

「柚野 司《ゆずの つかさ》くん、。サッカー部の」

「そう、なんだ…」

俺は上手く動揺を隠せていただろうか…。

少し、期待してしまっていた。好きな人に俺の名前が出てくることに。幼なじみだからといって、必ずしも好きになって貰えるわけじゃないのに…。

俺はずっと詩乃が好きだった。

「遥也ってサッカー部で司くんと仲良いでしょ?だから相談に乗って欲しくて…」

楽しそうに話す詩乃に俺は何も言えなかった。


その夜、俺は詩乃に思いを伝えなかった後悔と、明日からの憂鬱の中で眠りについた。

「応援なんて出来るかよ…」