最愛の婚約者が記憶喪失になった話

゚・*:.。❁





ギィ…と重たいドアを押して開ける。



「わぁ!チャペルですね?」



特別棟のチャペル。

俺たちが初めてキスした場所。



「キレー…ここも思い出の場所なんですか?」

「……うん」


初キスの場所、なんて言ったら一旦持ち帰らせてください!とか言いそうだな。

もう何回キスしたかわからないくらいなのに……いや、確か初は数えてたな。

そんなことまるで思い出しそうにない初は、目をうっとりさせながらチャペルを見渡している。

……やっぱり俺も数えておけばよかった。




「私、きっと鮫上くんのこと大好きだったんですね」




初が言って、俺は息を止めた。




「……え?」