「??」

 純粋に訳がわからないという様子の彼に、私は必死に考えながら言った。

「え〜とね…他の人でそういう人がいるかもしれないけど、私は好きな人じゃないと嫌なの!」

「…君が…僕を好きにならないとだめ?僕は君が好きだよ?」

「まあ…恋人同士じゃないと、私は嫌、かな…」

 私はなんとなく気恥ずかしいと思いながら、なんとか彼に自分の意思を伝えた。

「そっか…じゃあ僕と“恋人”になって、してほしいと思ってもらえるようにしなくちゃ…!」

 張り切る彼を私の上から下ろすと、私は隣の部屋に彼を連れていき、そこにある座椅子を指差して言った。

「あなた、人形なら寝なくても大丈夫よね?ここはあなたの指定席。私が寝るときは、この椅子で休んで?」

「え?君の体、温めなくていいの??」

 本気でうろたえているらしい彼に私は説明した。

「あのね、私はあなたを布団代わりにする気はないの。…恋人同士でもないしね…。今日は肌寒いけど、私の布団はそんなに安物じゃないから私は寒くないし」

「うん、分かったよ。寒くなったら言ってね」

 一応納得してくれたらしい。
 そう言うと彼は軽い足取りで座椅子に向かっていく。

 私はそれを見届けてから部屋に戻りベッドに寝転ぶと、そのまま眠りについた。