「…お金、払えないよ?あとで高いお金請求されても」

 一人暮らしでバイト学生の私。
 こんな質の良い動く人形をもしレンタルするなら、相当な値段が掛かるはず。

「人形はお金はいらないよ?食べ物もいらないよ?」

 私が真剣に尋ねるも、のんびり答える彼。
 それでもここではっきりしておかなければいけないことだと思い、私はさらにしつこく聞いた。

「そうじゃなくて、あなたをここに送った人が後で来て、私にお金を払えって言っても」

 彼は目をパチパチと瞬きながら返す。

「そんなことしないよ?」

「…あなたの主人が詐欺師じゃないって、誓える?」

「サギシ?誰も君からお金をもらったりしないよ?」

 私は少しの間考え、そして彼を本当に信用することにした。

「…分かった。あなたを少しのあいだ、この家に置くね」

「本当!?」

「あ、あなたの次の行き場が決まるまでよ?あと、あなたがここに来た理由をそのうち教えて。あなたも『約束』とかいうのがあるって言うから今はいいけど…」

「うん!」

 彼は嬉しそうに笑い、当然のように私に抱きつこうとする。

「きゃ!何!?」

「僕、頑張って君の役に立つよ!さ、抱きしめてあげるからね!」

 私は当然彼にストップをかける。

「ま、待って!!しなくていいの!」