「ご主人様、学校帰りのミオをよく窓の外に見かけると、いつも一人寂しそうに歩いてるって言ってた。とてもミオが気になったらしいよ。だからご主人様はミオのところに僕をしばらく置きたいって思ったんだって」

(…きっとご主人様の想いの強さがイチを動けるようにして、そしてイチの居場所を選んだ。そして幽霊みたいになってからも、イチと私の想いを聞きに来たんだ…)

「…ミオ…?」

 私は溢れてきた涙をそっと拭った。

「…本当に、イチのご主人様に感謝しなくちゃ…!イチ、これからもよろしくね…?」

 私の言葉に、イチは本当に嬉しそうに笑った。

「うん!…あれ?僕なんだか…」

 そう言うと、イチは目をこすり始める。

「どうしたの??」

「…ん…安心したら、なんだろう…」

 イチはさっきまで寝ていた私のベッドにまた体を横たえた。

「からだ…おもい…」

 かなりボンヤリとしているイチに私はすがりついた。

「イチ…?大丈夫、イチ!?」

 するとすぐ、イチは眠るように寝息を立て始めた。

「…なあんだ、イチは寝ちゃったのかぁ!…あれ??」