泣きながら詫びる私に、イチも泣きそうな顔で私の頭を撫でる。

「…そういえば僕、気づいたらご主人様と一緒だったんだ」

「え?」

 イチによると、私に怒られたイチは体が動かなくなり、気付けばイチのご主人様がいる不思議な空間にいたらしい。

「…この家に来る前、ご主人様と約束してたんだ…次に会った人の役に立てなかったら、僕はそこにはいられなくなるって…」

(イチはあのご主人様に、何を言われたんだろう…?やっぱり、イチが私といるのは良くないって言ったのかな…)

 イチは、私といて幸せだっただろうか?
 今さらになってそんなことを考えてしまう。

「…それで、ミオとはこれからも一緒にいたいか、って聞かれたよ」

「え?イチが消えてたときにそんなことを??」

「そう。ミオが帰ってくる前だよ。ご主人様は、ミオと直接お話出来たって言っていたからね」

 そこで私は妙なことに気付く。

「…帰ってくる…?私があなたを外に探しに行ってあなたのご主人様と会ってから帰ってきたとき、イチは眠ってたでしょう??なんで私が帰ってきたことなんて…」