「…ごめんなさい…ごめんなさい…!!ほかの人じゃダメなんです…!私、イチに謝らなくちゃ…。私のところなんかもう帰って来たくないかもしれない…それならもう仕方ない…。でも人形だからなんて、イチに冷たいことを言って…謝りたいんです…!」

 私は必死に頭を下げる。

「お願いします…イチのいる場所を知っているなら、教えてください…!!もう私の大切な家族なんです…!!」

 気づくと私は泣いていた。

 次の場所が決まるまでなんて言っていたのに、この数日ですっかりイチがいる生活に馴れていた。
 夜にも朝にも子犬みたいに懐いてきて、幼い弟と一緒みたいに騒がしくやりとりして、なんだかとても楽しかったから…。

 謝らなきゃ…またイチに会いたい…

「…目覚めるかな…?あと三日ほどで目覚めなければ、あの子は君の元からいなくなる…」

 おじいさんは瞬くうちに消えた。

「え…!?」

 おじいさんの言った意味はよく分からない。
 それでも“目覚める”と言っていたから、もしかしたら…

 私は急いで家に向かった。