探している、私のことを。
《ピンク・ラビット》と私のファンクラブの人たちが。

 その理由は。
 私がなかなか教室に戻ってこないからだろう。


 彼女たちは私の名前を呼び続け歩き回っている。

 見ている、固唾を吞んで。
 その様子を。
 中庭の木の陰から―――。


「……っ⁉」


 一体何が起こっているのか。

 突然のことで。
 できていない、理解が。










 だけど。
 その中で一つだけわかっていることがある。

 それは。
 今、私の口は塞がれている。
 真後ろにいる誰かの手によって。


 そうされていることにより。
 パニック状態になっている、頭の中が。







 なぜ私は口を塞がれているのか。

 どうするつもりなのか、それをして。





 って。
 もしかして私のことを連れ去ろうとしているっ⁉

 でも誰が?
 って、そもそも誰かに連れ去られる心当たりは全くない。



 いろいろなことが頭の中でグルグルと激しく回り。
 忙しくなっている、ものすごく。

 なっている、完全に。
 パニックに。

 だから。
 まとまらない、全く。
 考えが。

 それだからだろう。
 ただ空回りしているだけ。


 そんな中。
 思った、一瞬。
 声を出して助けを呼ぼうと。

 だけど。
 できない、声を出すことが。
 パニックと恐怖で。





 それならば。
 身体を動かし、その場から逃げよう。

 そう思っても。
 できない、動くことが。
 極度の恐怖と緊張でガチガチに固まって。





 それだからといって。
 このままの状態でいるわけにはいかない。

 何とかしなければ、私は一体どうなってしまうのか―――。