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「茉蕗せんぱーい」
「茉蕗姐さーん」
昼の休憩。
今、私は中庭の木の陰に隠れている。
今から数分前のこと。
手を洗い終え。
戻ろうとした、教室に。
そうしたら。
集まっていた、大勢の人たちが。
教室の前に。
どうしたのだろう。
そう思いながら教室へ向かっていると。
「茉蕗先輩いますか?」
「茉蕗姐さんはいる?
一緒に昼ごはん食べようと思って」
などの声が聞こえてきた。
教室の前に集まっていた人たちは。
《ピンク・ラビット》と私のファンクラブのメンバー。
みんな私に好意を持ってくれている人たち。
だから。
本当ならば、その人たちに寄り添って接する。
そうすることが理想なのだと思う。
だけど。
人見知りで注目されるのも目立つことも大の苦手。
そんな私にとっては、かなりのハードルの高さ。
それに。
ない、今まで。
こんなにも他人様から好意を持ってもらう。
そのことが。
だから。
今のような状況。
できていない、まだまだ追いつくことが。
頭と心の中で。
どう接すればいいのか、皆と。
戸惑いを感じてしまい。
申し訳ない。
そう思ったのだけど。
皆が集まっている教室。
そこから逃げるように逆方向に進んでいき。
探した、隠れるところを。
その結果、今に至る。