来たのは。
『白龍』の総長―――。



 来た、ついに。
『白龍』の総長が。


 そう思った瞬間。
 感じた、信じられないくらいに。
 どんどん上がってくる、心拍数が。
 そうなってきているのを。

 しているのだろうか、緊張。





 そう思いながら。
 見てみる、北邑(きたむら)さんの顔を。



 相変わらず。
 見える、冷たい感じに。
 北邑さんの表情(かお)

 だけど。
 緊張している、少しだけ。
 見える、そういう感じにも。


 基本ポーカーフェイスのようだから。
 はっきりとはわからないけれど。



「聞かせてもらう、
『白龍』の総長(あいつ)との勝負が終わったら
 茉蕗(あんた)の返事を」


 北邑さんはそう言って立ち上がる。



 それと同時に。
 聞こえた、少し離れたところから。
茉蕗(まろん)に何もしていないだろうな」
 そう言っている声が。





 知っている、その声。
 とてもよく知っている。

 まさか……っ⁉



 そう思っていると。
 現した、姿を。
 声を出したであろう人物が。


 その人はっ‼