「〈Sapphire〉なら余裕でしょ?」

メチャクチャ強いから!って、そう思っていた。

「…ぃッ!」

でも乱れた映像と声を聞いて、僕は初めて心配と言うものを知った気がした。

「大丈夫っ!?」

絡みつく不安。
苦しくて辛い気持ち。

(アクが居なければ、本当に一人ぼっちになってしまう…けど)

不安を知った僕は、でもさらにもう一つの考えに気づいてしまった。

【それってアクが居なければ、僕は何もできないのではないの?】という恐ろしい考えに。

(もしかして、アクに知らず知らずのうちに頼っているんじゃないの?)

さっきだって、僕は部屋で指示しているだけなのにアクは怪我を負った。

「僕は何もできていない。」

「何も役に立ってはいないんじゃないか?」


まとわり付くこの思考を打ち切るかのように舌打ちをし、僕は髪の毛をかき上げた。

「…俺は、アクの身体能力に頼らずに任務を遂行してやる。」

この考えがのちに最悪な運命を引き寄せるとも知らずに_。