上に顔を向ければ
天井の中央には大きなシャンデリア。
絨毯も高級そうなものが敷かれてあり、パンプスが吸収され足が全然痛くない。
視線を動かすたびにキラキラと眩しく輝いて見えてまるで海外のお城に来た気分だ。
そんな会場に感激しながら、一つ一つのテーブルの装飾品などを壁に張り付き端っこから眺めていると。
開始時間の少し前から次々と姿を現した著名人たち。
メディア側は少しざわつきながら動きを見せる。
わぁ、とざわつき、すぐさま人だかりとカメラのフラッシュ。
その人混みから登場するのはパステルドレスやシックなドレスを纏ったこの世界の方々たち。
身につけている装飾品も高価なものなのだろう、輝きを放っている。
そして何より、さすが芸能人。著名人。…美しい。
同じ人間なのだろうかと思うくらいの造形美、纏う雰囲気に圧倒され、魅入ってしまう。きっと努力されているのだろうと思うが、元々が良いのだとしたらほんと、すごいなぁ。
お人形さんみたいだ。
注目を浴びる芸能人の方々の端で、頂いたこうしてカクテルをちびちび飲んでいる私は場違いだな…
スーツでさえも不釣り合いなのに。
同じ人間なんだと思うとその差に少し悲しくなる。
けれど、そんな劣等感よりも、きっとこんな場所にこれるのも最初で最後だろうと貪欲な気持ちが勝っていて。
この世界を目に焼き付けて帰ろうと視線を動かす。
私が参加させて頂いてる雑誌…
から排出された今有名な女優さんがたくさんいる。
周りを伺うように
今か今かと動き出すタイミングを伺っていたメディアの方々は我先へと散らばっていく。
事前に連絡をとっていたのかな。
笹村さんを見つけて向こうから話しかけてくる女優さんに挨拶しながら笹村さんの動きを見つめる。
すごいなぁ、と。
他の雑誌の編集さんや脚本家、プロデューサー。
誰が誰だかわからないが嬉々として私に教えてくれる笹村さんに頷きながら目に焼き付ける。
少しでも有名な人と企画を結ぼうと必死なんだな、と。
「あ、憂ちゃん」
ザワザワと談笑で騒がしい会場内で、ふと耳に入ってきた声。