不安、緊張、わくわく…色々な感情を胸に、私は入学の日を迎えた。

何やら奇抜な(しかしカリスマ性のある)七海学園長らの話を聞いた後、
私はこれから運命の相手と共に生活するための自分の部屋へと入った。

相手はまだ…か。
先に荷物を片付けて、服も着替えようかな。
ここでの生活のために奮発して買った人気ブランドのルームウェア!
もこもこ可愛くて女子力抜群。きっと可愛いと思ってもらえるはず!

服を着替え、自分とペアの人の分の紅茶を入れていた時だった。

”ガチャ…”

ドアを開ける音。
一瞬で鼓動が早くなる。ついに私の運命の相手が来たんだ…!

「は、初めまして!私、森岡梨菜です!」
ドキドキしすぎて顔を見れず、ペコッとお辞儀をしながら自己紹介をした。
「あの、これからよろし…」
勇気を出して顔を上げると、そこには黒髪で背の高い男の子が立っていた。
ただ、明らかに様子がおかしい。
眉をひそめ、口を半開きにしながら私を見つめている。

次の瞬間。

”ガチャッ!”

踵を返した男の子はドアを閉め廊下に出てしまった。
何が何だか訳が分からない。

戸惑いながらドアを見つめている私の耳に、微かな声が届く。

「うわー…最悪」