「そっか…。事情はわかった。少しメイク変えてみるよ」
「え、ていうか、全然すっぴんで可愛いんだけど」
「!!」
抱きしめられたまま、まるで秋元君が言いそうなことを言う杉崎君にドキドキした。
「だからさ、これからも俺とペアでいてよ」
「うん…。私もできればそうしたい。秋元君には説明しなきゃだけど…」
振り回してしまって、秋元君には申し訳ないと思った。あとで謝らなきゃ…。

「…あ、そうだ!杉崎君!」
顔を上げ、杉崎君の目を見て言う。
「課題の写真、今日だけ撮ってほしい!」
「え?」
「昨日まで秋元君に撮ってもらってたけど、最後だけは杉崎君に撮ってもらいたくて…」
「別にいいけど…すっぴんのままでいいの?」
「うっ…」
「ていうか、俺が嫌。すっぴんの梨菜は、誰にも見せたくない。俺だけのものにしたい」
「…っ!!」
誤解が解けてからの杉崎君は、なんだか甘い。
「じゃあ、軽くナチュラルメイクするね。待ってて!」

急いでコンシーラーとパウダーだけで肌を仕上げる。
アイメイクは二重のりにビューラーだけ、眉とリップもナチュラルに。

「お待たせー!」
「お、ナチュラルメイクも可愛いじゃん」
「もう、照れるから!」
「じゃあ撮るよ」