瞳の中で好きって言って

「ごめん……!」
辛そうな顔の杉崎君が私の元に近づき、正面から抱きしめた。
「違う。梨菜が悪いわけじゃないんだ!俺が情けないだけで…」
「情けないって…?」
「…こんなこと、情けなくて言えなかったけど……
 メイクした梨菜の顔、浮気された元カノにそっくりなんだよ」
「!?」
「中学の時1年以上付き合ってて…でも、俺の部活仲間と浮気してたんだ。
 俺は家があんまりお金なくて、お小遣いも少なかったから…
 彼女におごったりもほとんどしてやれなかったし
 誕生日やクリスマスのプレゼントも大したもの買ってやれなくて。
 別れ話の時にそういうの散々文句言われてさ…。
 見返してやる、金持ちになって素敵な子と結婚してやるって思って、この学校に入った」
友達もいなくて恋バナなんてしてこなかった私には、だいぶ刺激の強い話だった。
「初日に梨菜の顔を見たとき、元カノにそっくりでびっくりして…
 嫌な記憶がフラッシュバックしちゃってさ。それで、顔が見れないって言ったんだ…」
「……それならそうと言ってくれれば良かったのに…。
 顔なんて、メイクの仕方ひとつで印象変えられるんだから」
「そうだよな…ごめん。恥ずかしくて、言えなくて…」

そういうことだったのか…。
気分が悪くなるっていうのは、嫌な記憶を思い出すからってこと…。
なんだか拍子抜けしてしまう。私自身に問題があったわけじゃなかったんだ。