正直、会社の社長だのお金だのには大して興味はない。
私の目的は結婚。

自分で探さなくてもベストなパートナーを勝手に選んでくれて、
上手くいけばそのまま結婚。
ありがたい学校だ。

学校ではいつも一人で、空気のような存在だった私。
イジメというほどではないけど、
みんな私には何を言ってもいいというような雰囲気だった。
私はただ聞くだけで、何も言い返さないから。

ある日、担任の先生が結婚を報告した。
「実はね、先生、彼にプロポーズされたの。
 来年にはハワイで挙式する予定♡」
教室中が沸いた。
「先生おめでとー!!」
「彼氏どんな人ー?」
特に女子は次から次へと先生に質問を飛ばした。

結婚・・・。

なんだか自分には想像もつかないけれど、とっても素敵なこと。
先生の話を聞いてからなんだかドキドキしてしまって、
自分の理想のウエディングドレスをノートの隅に落書きしていた。

「あんたみたいな女は結婚できないよ」

その絵を覗き込んだ彼女は、笑いながらそう言った。