"コンコン"

話が一区切りついたタイミングでドアをノックする音が聞こえた。
「誰だろう?私開けてくるね」
ドアを開けると、そこに立っていたのは秋元君だった。
「秋元君!?どうしたの?」
「いや、今日話してた件どうなったかなーって。明日からもう課題始まるし」
「あ、うん、そうだよね…。さっき杉崎君と話して、お願いしようって…」
「了解。…おい杉崎」
秋元君はリビングにいる杉崎君に向けて声をかけた。
「梨菜ちゃんの写真、俺が撮るってことでいいんだな?」
「あ、あぁ…。悪いけど頼む」
「ぜーんぜん。むしろ俺はラッキーだと思ってるよ」
「?」
杉崎君は怪訝そうな顔をした。
「俺、梨菜ちゃんとペアを組みなおしたいと思ってるんだよね」
「は?」
「え、秋元君!?」
「今のペア…堂本とはどうにも合わなくてさ。トロくてイラついちゃうし。
 今回の課題、もし俺が撮った梨菜ちゃんの写真が評価で3位までに入ったら、
 ペアのトレードを申請したい」
「秋元…!」
「秋元君、勝手にそんなこと決められたら困るよ!」
「でもさー、実際これから無理だと思うよ?相手の顔が見れないんじゃ。
 俺は梨菜ちゃんと上手くやっていく自信ある。杉崎どう?言い返せる?」
「…っ」
杉崎君が私の顔を見れないのは事実だ。それが大きなハンデになることは間違いない。

しばしの沈黙の後…