「ねー梨菜ちゃん」
「ん?」
移動教室で廊下を歩いているとき、秋元君から声をかけられた。
「今日出た課題どうすんの?杉崎はちゃんと梨菜ちゃんの写真撮ってくれる?」
ぎくっ…
鋭い。そんなことに気が付くなんて…。
「えぇーと…うんまぁ何とかなるとは思うけど…」
しどろもどろに答える。
「もしアレだったら…」
そう言うと、秋元君は私の耳元で小さな声で囁いた。
「こっそり俺が撮ってあげようか?」
「えっ!?」
思いもよらない提案に驚く。
「誰にもバレないように気を付けるしさ。悪い提案じゃないと思うんだけど」
「た、確かにそうだけど…」
「まぁここで決めなくていいから、またいつでも声かけて!」
にっこり微笑む秋元君は、私から離れペアの堂本さんのところへ歩いて行った。
「…」
なんだかズルするようで気が引けるけど、杉崎君のことを考えると助かるのは事実。
相談してみて、杉崎君もそれでOKなら秋元君に頼ろうかな…。



その日の夜、杉崎君に秋元君の提案について相談すると、できればお願いしたいと言った。
正直すんなりOKしたことにショックは受けたけど、どうしようもない。

気持ちを切り替えて、問題なく課題をクリアできるように頑張ろう…。