次々湧いてくる疑問は、再びのスピーカーからの大音量にかき消された。
<どうだい!?手を繋ぐだけなのに、意外とドキドキするだろう!
 まだ出会ったばかりのペアのことも、これで意識してくれたら大成功!はっはっは!>
七海夫妻の高らかな笑い声が教室中に響く。
<それじゃあ、今日はこのあたりで!皆さん仲良くね~♡>
プツッという機械音で放送は終わりを告げた。
なんだか嵐のような人達だ…。

冷静になると、いつの間にか手は離れていて、杉崎君は自分の席に座っている。
周りを見渡せば、照れているのかぎこちなさそうなペア、
距離が縮まったのか仲良さそうに笑いあうペア、
何事も無かったかのように無言で席についているペア…色々だった。

ふと、左手に微かに残っている温もりを感じ、ドキッとする。
学園長の言う通り、こんなの意識しちゃうに決まってるじゃん…!

もうとにかく、ダメ元でぶつかってみるしかない。

私は席に座り、左隣の席に座っている杉崎君を見つめ声をかけた。
「ねぇ杉崎君!」