俺は《あの日》から、人間が大嫌いになっていた。
《あの日》とは何かだって?
…それは知らないほうが身のためだぞ。
まあ、人間を毛嫌いしていた俺だが。
…あいつ(アイル)と会って、変わった気がする。
否、気がするのではなく、変わったのだろう。
人間を見るだけで憎悪が溢れてきていたのが、今は人間の中に紛れ込み、普通の旅人を装うほどだ。
今でも人間は嫌いだが、アイルは別だ。
だから、あいつの記憶がなくなったとき、胸が苦しくなるような、変な感じがした。
生まれて初めての感情だった。
いまだに思うが、あれは何だったのだろう?
まあ、良いか。
…とにかく、あいつは俺にとって、特別な存在ということか。


