やっと村に着き、村中探し回る。

…が、誰も居ない。


それもそのはず。村は全滅、生き残りはアイルだけなのだから。


「おい」

「!?」

「何をしている?こんな夜中に」


いつの間にか、目の前に見知らぬ男が立っていた。

男は私と視線を同じにしようと、しゃがんで話しかけてきた。

男はさっきの男たちと同じような、真っ黒なコートを着ていた。


さっきの……仲間?

自然と体が強張る。


「…お、おじいちゃんが、殺されたの…」

「誰に殺されたか、分かるか…?」

「分からない…でも、何か黒い洋服を着てたの」


私がそう言うと、男は難しげな表情をした。

どうやら、さっきの男たちの仲間ではないらしい。


「やっぱり『あいつら』、か…」

「『あいつら』?」

「ああ。俺は、ある事情から、そいつらを倒すために、追っているんだ。どっちに行ったか、知らないか…?」

「えっとね、あっちのほうに行ったと思うよ」


私は男たちが来た方角を指差して言った。


「そうか。…すまない。では、俺はあいつらを追って、また旅を続けるが、お前はどうする?旅の途中の街の孤児院にでも、連れてってやろうか?」


(どうしよう…孤児院で、これからほかの皆と普通に暮らすか、それとも…)


「私も一緒に連れて行って」


男は驚いて、目を丸くした。

そんな答えが返ってくるとは予想もしなかったのだろう。


(だって、孤児院なんかでじっとしていたくない。おじいちゃんを殺した人達を、絶対に許さない…!)