ドンッ
「いったーい!」
真っ暗な森の中で、クロードを見失わないようにぴったりくっついて歩いていたアイルは、いきなり止まったクロードにぶつかってしまった。
「もう!急に止まんないでよね、危ないじゃない!」
アイルは鼻を思いっきりぶつけてしまって、痛そうに手でさする。
「…誰かいる」
アイルを無視して、クロードが神経を集中させる。
「へ?」
辺りを見渡すが、誰も見当たらない。
(いないじゃないの…まったく、悪魔ってのは、五感が鋭くていいわね!)
「…おい、セルリア。隠れてないで、いい加減出てきたらどうだ?」
すると少し離れた木の裏から、女の人が出てきた。
暗くてよく見えないが、輪郭的にとても綺麗な顔立ちをしているのが分かる。
「あら、ばれちゃったのー?気配消してたのに分かるなんて、さすがクロード!」
セルリアと呼ばれた女は、優雅にクロードのもとに歩み寄ると、クロードに抱きつき、ほかの男ならその誘惑に負けてしまうような、甘えた声で言った。


