悪魔と私



呪文の最後の一言を唱えた瞬間、天から白くて眩しい光が差して、アイルを照らした。

その眩しさに思わず目を瞑っていたアイルは、ふわ、と空気が動くのを感じ、そっと瞼を開いた。


…また、失敗だろうか。

あーあ、これで失敗は100回目。

精霊の呼び出しは魔術の中でも高度な魔術らしく、とても難しいからしょうがない、といつもライトは慰めてくれるが、100回目と言うのはさすがに酷い。


ライトが言うような魔力が、私には本当にあるのだろうか?

人違いだったりして…。


そう、頭に過ぎった考えは、すぐに頭から消え去った。


瞼を開いて一番最初に出てきたのは…。


「んぁ?…お前がこの俺様を呼び出したのか?」


全身真っ黒な、男の子…?


「あ、悪魔!?」

「はあ!?ちげーよ、どう見ても闇の精だろ」


確かに、悪魔にしてはちっちゃい。


「んでさぁ、何で俺様を呼び出したんだ?この王子を呼び出したからには、とっても大きな願いなんだろうな?」