ここ…何処?


周りを見ても、何処か分からない。

今分かるのは、自分がひっろいベットに寝かされていると言うことだけ。

此処が何処か聞こうにも、誰も居ない。

縛られていないことから、もう慣れきってしまった誘拐では無いようだ。


がちゃ


扉のあく音がして、反射的に部屋の隅で縮こまる。



「あれ?何処行ったのかな…。って、そんなとこ居たんだ」


男の人の声がして、顔を上げる。


「起きたんだねー、どこか痛まない?」

「貴方、誰?此処は何処?」


青年の質問には答えず、逆に質問で返す。


「ああ、ごめんね。急にこんな所に連れて来られたら、誰だって驚くよね。
 僕はライト・クレーラ。ライトで良いよ。そしてここは僕の城。お気に召したかな?」


改めて彼を見てみると、赤茶色で癖の無い髪、すらりと高い背と物腰柔らかい仕草。

如何にも好青年といった類だ。



「あっ…ごめんなさい、不快に思いましたよね。私、また誘拐かと思って…そんなわけないですよね。誘拐なら手首とか縛られますし…。
 私の名前はアイル・カルット。えっと…連れが居たはずですけど……」