「ふあ~ぁ…」


少年は大きな欠伸をひとつすると、辺りをきょろきょろと見渡した。


「あれ、ここ…何処?」


目が覚めると、知らないところに寝ていた。

否、正しくは気を失っていた。

暗くて、じめじめしていて、とにかく何か嫌な所だ。


それによほどショックなことでもあったのか、何故こんな所にいるのか、何故気を失っていたのか、全然思い出せない。



「アイルッ!」


聞きなれた、クロードの声。

あの冷静沈着で無愛想なクロードが、とても焦っているように聞こえる。

声が聞こえてきた方角を向く。


「…っアイ…」


慌てて叫びかけた口を押さえる。

今出て行っても、クロードの邪魔になるだけだ。

クロードのことだから、心配する必要はないだろう。


でも、今すぐにでも駆けつけたく思うほど、そこに見えたものはルーゼにショックを与えた。