「それよりも、占い師は?」
「ああ…結界が張っているらしく、そのせいでくわしい場所は特定できなかったが、ここからずっと北にある、『ゴーストマウンテン』付近から気配がするらしい。」
クロードはまだ、目玉焼きを返している。
(ゴースト?幽霊でもいるの?)
「でも、前から思ってたんだけど、なんで魔王は魔界にいないの?普通は自分の国に城を建てて暮らすのが普通じゃないの?」
アイルはふと思ったことを口にした。
「それがな、魔界では、ほとんどの人が(人じゃないが)、乱暴な王の政治を批判して、反乱軍ができていて、危険なんだ。だから魔王は人間界に逃げ込んだんだろう…」
「へえ。自分の国から逃げることになるなんてね」
「まったくだ。ところで、話を戻すが、明日の朝に出る。準備をしておけよ」
「分かったわ……。って、明日!?気が早いわよ、クロ!女の子は、いろいろと準備が大変なのよ!」
アイルは、いまだに同じ目玉焼きを返しているクロードを苛だたしげに見た。
(本当に、クロは昔からせっかちだわ…!)
「女の子?さて、どこに女の子なんているのだ?どこにも見当たらないが…」
「ああ、そうね。それより、いつまで目玉焼き焼いてるの?とっくに焦げて、真っ黒だよ…」
クロードには何を言っても無駄だと言うことを思い出したアイルは、さっきから同じ卵ばっかり焼いているクロードを不思議に思い、聞いてみた。