私にはもう、朝は来ない。

「流花ー、想君迎えに来てくれたわよ〜」

「はぁーい」

お母さんに返事をしてから、玄関に向かう。

さっき飲み終わった汁椀と一緒に。

「おはよ、今朝ごはん食べてたとこなの。あと、5分だけ待ってて。あと、今日早いね。いつも私が迎えに行ってるのに」

私がそう言うと、あなたは「たまにはいいところ見せないとだしさ、それに流花に頼りっぱなしは良くないしな」と、言って優しく笑った。

私は5分ぴったりに準備を終わらせた。

「準備出来たよー、待たせてごめんね。それじゃ、お母さーん行ってきます!」

「おばさん行ってきます」

私と想で行ってきますの挨拶をすると、お母さんからも「行ってらっしゃい」の挨拶をもらった。

家を出てから10分ほどが経った頃、制服のポケットから拳1個分ほどの大きさのおにぎりを取り出した。

お母さんが、お茶碗の中に入っていた残りのご飯でおにぎりを握ってくれたのだ。