私にはもう、朝は来ない。

「双葉ー」

理由はないけれど、名字で呼んだ。

「その呼び方をされると、なんか葉群を思い出すな……」

『葉群』その名字が耳から体内へ吸い込まれたとき身体が、全身がドクンと大きく何かに打たれたようなそんな感覚が私の身体にまとわりつく。

 気持ちを悪かった。

 吐き気がした。

 一気に体温が下がっていくのを感じた。

 指先が痺れていくのを感じた。

 繭は忘れることを赦してくれなかった。