私にはもう、朝は来ない。

 「ねえ」

珍しく、今日は寝癖のない黒髪が上下に揺れる姿を見ながら、私はあなたに聞く。

「ん?どうした?」

一瞬だけ、こちらを向いた彼は少し、汗をかいていた。

 暦の上では春だけれど、まだ冬の寒さが消えない、ぴりぴりとした空気を纏う2月の空気。

早く春にならないかな。なんて思いながら、私は雲は一つもないのに、どこまでも白い空を仰ぐ。

 この冬の空気の雰囲気、色、匂いが私は好きだ。

意味もなく、浅いけれど深呼吸をした。それから、しっかり考えれば分かるはずの答えを見つけるのが何だかめんどくさかったから、あなたに聞いた。