私にはもう、朝は来ない。

 繭の笑顔と共に、鮮やかな赤色の血が繭を赤く染めた。

 道路に横たわる繭。私の手を握る冷たい繭の手の感触までもが感じられた。

息絶える直前に放った繭の言葉が脳裏に浮かんだ。 

 ー忘れないで……。

あの言葉は、どっちの意味だったのだろうか。 



 「流花、ずっと前から好きだった」

「え?」

突然の告白に思考が追いつかず、「え?」思わず口から漏れた。