私にはもう、朝は来ない。

大きく深呼吸しているあなたの顔は少し赤くなっているように見えた。気のせいかもしれないけれど。

「すうー……ふうー……。あのさ、流花」

深呼吸を終えた想は私の目を真っ直ぐに見た。

「ふふ。どうしたの」

こんなに真っ直ぐにお互いの目を見て会話をすることは今まで、あまり無かったからだろうか。なんだか変な感じがしてつい、笑ってしまった。

 「笑うなよー」と言いながら笑う想。

 嗚呼、私はこの想の笑顔が好きだったなあ。なんて思いながら、想の長いまつ毛に視線を逸らした。

この、雰囲気が好きで、この優しさだけで溢れて、この優しさに包まれた空間が幸せで。