私にはもう、朝は来ない。

 けれど今日は違った。

いつも居るはずの繭が今日は何処にも居なかった。

学校にも、家にも、通学路にも。何処にも居なかった。

 「流花、どうした?ずっとぼんやりしてるけど」

「あ、ううん。なんでもないよ。気にしないで」

心配そうに私の顔を覗き込む想はオレンジ色の夕日に染められていた。

「ごめん、流花辛いのにわざわざ俺の都合につき合わせちゃって……」

「気にしないで。私は大丈夫だから……。それより話って何?」