私にはもう、朝は来ない。

全ての原因は私だったんだ。

私のせいで繭はこんな目に遭って、3日後に死ぬと余命宣告を受けることになって……。

可哀想な繭に優しく口付けをした。

気づいたら、目の前には目を閉じた繭の長い、綺麗なまつ毛があった。

繭はそっと、優しく私の頬に、生きているとは思えないほどの冷たい手を添えた。

繭の唇は柔らかくて、なんだか甘ったるかった気がした。

「流花は何も悪くない。間違ってない……。流花が繭を殺したと思っているなら、間違ってる、から……」

 もう、時間なのか、繭の呼吸は喋る度に荒くなっていた。

「最期に今までありがとう。流花に会えてよかった。『愛してる』から、私を『忘れないで……』」

 繭は涙をポロポロとこぼしながら、笑顔でそう言った。

そしてゆっくり目を瞑った。

「わかった。繭のことを忘れないから」