私にはもう、朝は来ない。

「流花ぁ〜、泣かないでよ……」

右手で私の左手を握った繭の手は、本当に生きているとは思えないほど冷たかった。

「繭……。ごめんね」

「何が?私、謝られるほどの事されたっけ?」

目を瞬きさせるのは、繭が何かを考えたり、何かを思い出そうとする時の癖だ。

「私ね……、繭のことを見殺しにしたんだ」

私の身体はその一言を言うのにどれだけ震えていただろう。

手を握っていた繭はどう思っただろう。

私の背中は冷や汗でじっとりと濡れていた。