「それに叶琳ちゃんは気づいてくれた。ひとりで抱えなくていいって、無理しなくていいって。叶琳ちゃんは他の子と違うんだよね。みんなが気づかない僕の一面に気づいて寄り添ってくれるから」




陽世くんはつかみにくい。


優しかったり、イジワルなこと言ったり。


でも、いま急に誰にも明かしてないような弱いところを見せてきたり。



「だけど、叶琳ちゃんは僕に振り向いてくれない――夜紘のほうが叶琳ちゃんの気持ちをつかんでる気がする」



今ここで、はっきりした気持ちを言えない。


きっとそれを陽世くんはわかってる。



「……だから妬いちゃうのかな」


抱きしめる力をゆるめて、ちゃんと目線を合わせて。



「僕あんまりおとなしくないからね」


この前、夜紘くんにつけられた赤い痕を指先でなぞりながら。


そこに重ねるように唇を這わせて。


「……かなり嫉妬深いみたいだから」

甘く赤い痕を残して。


「今よりもっと遠慮しないよ。叶琳ちゃんのぜんぶ僕のものにするからね」


陽世くんの嫉妬は……蜜みたいに甘い。