死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。

雨。


この雨も、きっと同じ雨はない。

もう来ないであろう今日の雨。

少し考えると切ない。


どうしてかそんなことを考えながら、靴を履き替え、校門にきた。


爽玖くんは黒い傘をさして門で足を止めて待っていた。


まだ部活をしている人はしているので、門や下駄箱に人はいない。


男の子と下校するなんて初めてで、なんだか噂がたったりしないか心配したが、
他に人がいなくて安心する。



「夏菜さん。」



私は赤い傘をさした。雨と爽玖くん。なんだか雰囲気があっている。



「お待たせ。」



そして、二人で傘を並べ歩き出す。


私の背が低いのか、彼が高いのか背は同じくらいだから、同級生に思われるだろうな。

私は歩くのが遅いが、爽玖くんは私の歩幅に合わせてくれている気がした。

道の方面は一緒らしい。



「さっき、生きる意味なんて考えなくてもいいって言ってくれたじゃないですか。」



「えっと、うん。」


はるか昔のように感じる。また怒られると思ったが、違った。


「ありがとうございます」


「…?」
お礼だった…?


「嬉しかった。素直に。」


そう言って、隣に並ぶ爽玖くんは、空を仰いだ。

「ほんと…?」

どんな反応をすればよいのか分からなかったが、恐る恐る反応する。

「はい。」

そして、爽玖くんは一呼吸して口を開いた。

「俺、生きる意味なんかいらないって言ってほしかったんですよ」


「まあ言ってほしいときあるよね」


どう反応すればよいのか分からないけど、笑ってみる。