死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。



「待て」


伊吹さんが廊下に立って、緑さんの白い肌の腕を掴む。



「きゃ」



小さく驚きながら、私はラブストーリーのドラマを見ているかのような錯覚に至る。多分爽玖くんも。


「犬。かわいいな」



「うん!伊吹くんも思うよね!」

嬉しそうに緑さんは声を上げた。
静かな廊下に緑さんのかわいらしい声が響き渡る。


「でも、学校に連れてきちゃいけないし、それ、お前の犬じゃないだろ」


ぎくっ、私と同じギクッとした顔で緑さんは伊吹さんを見つめる。


「はは…わかってたんだ」


「お見通しだよ。その犬そんなにお前のこと飼い主だと思ってなさそうだから。
俺は犬飼ってるからわかる」


「やっぱり私のことはお見通しだね」

いたずらっぽく笑う。


「やめろその口調。」


「じゃあね!私達このまま帰る!」


「は?まあ…いいけど」

伊吹さんは少し頬を赤くしながら、許した。


「じゃあ夏菜ちゃん。ありがと!2人とも頑張ってね!夏菜ちゃん。応援してるよ」




緑さんと伊吹さんは帰っていった。


あれが…!!高校生だ……!!!恋する乙女だ……!!