死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。



「いやぁほんとにその男の子大好きなの。顔も良くて優しくて−」

延々と続きそうな話に、私は苦笑いをしていた。


私達は廊下を少し走りながら、話していた。


まず、緑さんはいとこに犬を借り、その犬が大人しかったのに暴走。そして逃げ出し、今に至る。



「犬は、ホントは好きだったんですか?」


私は聞くと、緑さんは「うーん。微妙。怖い」と言葉をこぼした。


「わ、私も実は……動物園のライオンよりも苦手で怖いし嫌いです犬。」



「えええ…っそこまではいかんわ」
ふふっと彼女は笑っていた。



「で、どこにいそうですか?その犬」



「うーんとね。わかんない。」



「犬種とかは?」



「うーんとね。わかんない。」


階段を下る。

「うーんとね。わかんない」を緑さんは繰り返す。