「私ね。ずっとヒーローになりたかった」
ヒーローに。私はポツリと口に出した。
太陽は沈みかかっているが、時間が止まったかのように夕陽は存在する。
「辛くて悲しくて、死にたいような人を助けられるようなヒーローに。なりたくて。
小学校の卒業式には「ヒーローみたいな警察官に!」とか言ったんだよ?
ちょっと黒歴史だわ………」
「そうなんですね」
爽玖くんは無表情にわたしを見る。
でも、その無表情は始めてあったときよりも、無表情ではなかった。
「その女の子って私じゃないんでしょ?」
爽玖くんは少しの間黙り、口を開いた。
「違います」
「ははっだよねー」
私は軽く受け流す。
私が、こんな私が、私なんかが、できるはずない。勇気もないし、弱いし、助けられるヒーローなんかじゃ私はない。
昔の私は、国上を助けた。
昔の私は、今の私とは真逆だから。


