死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。



「俺…辛そうに見えたんですよ」



「…?」



「夏菜さんが辛そうだったから。

だから、俺はあなたに一緒に死んでほしいと頼んだ。そして、あと一つ理由がある」


辛そうだったから−


私は、辛かったのか。
爽玖くんは、私と会う前に、気づいてくれていた。


辛そうだったから−その言葉は、わたしをえぐるほどに考えさせられた。



「理由…?」



「そのもう1つの理由はまた自分で考えて下さい」



「…はい」




「夕陽、きれいだな」


爽玖くんがポツリと言った。



「あ、敬語ないんだ」



「え、あ、すみません、なんか無意識に」


「全然!!敬語無しでいいんだよ」


「…はい」

なんだ、結局敬語なのかと心の中でツッコんだ後、わたしはまた爽玖くんの夕陽を見る目を見る。


「やっぱりきれいだなぁ」

はっと声を出しているのを気づく。



「はい綺麗な夕陽」


「ん」


やっぱり、爽玖くんには…死んでほしくないな。
この夕陽をずっと見ていたい。
君と。


この目は、色々な、ものを見てきた爽玖くんの目なんだろう。だからきっと、きれいなんだろう。


「俺、親にはずっと敬語でした。
だから、年上の人は敬語を外せにはいられないんです」


「そっか」

私は考えた末うなずくことにした。
それが、1番爽玖くんにとっていいと思ったから。