死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。

「爽玖くんには、兄弟はいるの?」

私は少し気になっていたことを聞いた。
話を変えたかったし…。


「いいえ。俺だけです。」


「そうなんだ。私はね。お兄ちゃんがいるよ。」


「何歳ですか?」


「えっと、高3!」


「へぇー」


「でもさ。私もね。親の機嫌ばっかり見てた。今日は機嫌悪いんだ。なら、今日はあまり話さないでおこうとか。」


「機嫌…」



「だからね。同じところはあると思う。爽玖くんほど辛くはないと思うけど」
私は笑った。



「夏菜さんは、中学生が辛かったんですよね?」


「う、うん。まあそうだね。」

部活や、人間関係、色々悩んだ。


「今は?」



「………え」



「今は、ツラくないんですか?」

……私は何も言えなかった。確かに、状況は何も変わっていない。


「う、うん!今はそんなに」

ああ。またいつもの癖。また隠しそうになる。


「ほんとに?」


爽玖くんは、わたしを見つめる。

目をそらしそうになるけど、そらしたら負けな気がした。


「………嘘。何も状況は変わってない。」



「……俺も。さっき、小さい頃の話ししたけど、あれは今もです、」



「そう…なの…??」


「だから、それもあって俺は死にたかった。」

「…そっかあ」